イタリアのトリノにあるレジーナ・マルゲリータ病院小児科の小児腫瘍科病棟では、50年以上前から、がんという重病を患う子どもたちの治療を行っています。この病棟が設立されたのは1971年でしたが、1989年には病棟内に幹細胞移植部門が新設され、幼い子どもの命を救ってきました。造血幹細胞移植は骨髄移植とも言われますが、白血病、骨髄腫、リンパ腫など、特定のがんの治療によく用いられます。幹細胞移植部門で行われる造血幹細胞移植の実績は年間約30件を数えますが、小児腫瘍科に寄せられる小児患者の紹介状は150人分以上になります。
108-IA3地区のライオンズは、幹細胞移植を受ける勇敢な子どもたちのために、病院の面会エリアの設備を改善しなければならないと考え、これを実行しようと決断しました。子どもたちがそこで過ごす日々が、少しでもより穏やかで快適なものとなるよう、サポートしたいという願いからです。
移植を受けることが決まった子どもたちにとって、その治療の過程は精神的にも肉体的にも負担が大きいものです。治療中は免疫力が低下するので、感染症を防ぐため、子どもは無菌室で30~40日間も過ごさなければなりません。そんな患者に付き添うことが許されるのは大人1人だけで、それ以外の人は病室の外のギャラリーから窓越しに音声通信システムを使って話すことしかできません。無菌室にいる間、子どもたちはこのような環境で、外部の人と面会しますし学校の授業も受けるのです。
ところが最近、この通信システムが老朽化して故障が頻発し使えないことが多くなりました。その結果、プライバシーを保つことがほとんどできなくなり、面会者を受け入れることや医療従事者の研修の実施が難しくなりましたが、これは本来回避できる事態でした。加えて、来院者用のギャラリーは、窓を開けることができない上に直射日光が差し込む構造になっているために室温が上がり、不快な状況になることがよくありました。これでは、小児がん患者とその家族にとって理想的な環境とはとても言えません。108-IA3地区のライオンズは、幹細胞移植を受ける勇敢な子どもたちのために、病院の面会エリアの設備を改善しなければならないと考え、これを実行しようと決断しました。子どもたちがそこで過ごす日々が、少しでもより穏やかで快適なものとなるよう、サポートしたいという願いからです。
そこでライオンズクラブ国際財団(LCIF)は108-IA3地区のライオンズに対して小児がん交付金21,659米ドルと地区およびクラブシェアリング交付金(DCG)3,000米ドルを交付し、この事業は実現しました。地区内の15を超えるライオンズクラブが、この事業のための資金調達活動に参加して総計13,000米ドルを集めました。さらに地区全体で、小児腫瘍科病棟への支援を継続することを約束しました。
この事業では、面会エリアに5つある、患者と面会者が対話できるブースのインターホン設備を最新のものに交換したので、話し声がお互いに聞き取りやすくなりましたし、他の人の話を不用意に聞くこともなくなりました。さらに、窓には室温上昇を防ぐUVカットフィルムを貼り、来院者の軽食を保管するための冷蔵庫も新たに購入して設置しました。すべては、来院者に快適に過ごしてもらうためです。
面会エリアがこのように改修されたことで、患者の女の子にも変化が起こったと、その子の親が次のように話してくれました。「娘は、治療のために入院すると学校に通えず授業が受けられないのが悲しいと言っていました。でも病院の先生たちは娘に、無菌室に入っていても壁はガラス張りだし通信システムも設置されているから、授業を受けることができると説明してくださったので、娘は安心したようです。しかも、兄や祖父母、親しい友人と面会することもできます。それを聞いた娘は、たちまち機嫌がよくなりました」。
患者、家族、友人、教育者など、年間約180人がこの改修の恩恵を受ける見込みです。こうした成果は、地域社会全体に対する奉仕事業の影響力が交付金によって増幅されたことの表れです。ライオンズとレオが思いやりをもって行動し続ける中、LCIFは有意義な交付金の機会を通じて彼らの努力を支援し、ライオンズが世界中で進めている奉仕の受益者の数を増やしていきます。
詳細はlionsclubs.org/GrantsToolkit でご確認ください。交付金の種類を確認し、あなたのクラブの次の事業に最も効果的な交付金を選択してください。
シェルビー・ワシントンは、ライオンズクラブ国際財団(LCIF)のコンテンツスペシャリストです。