Raiding their closets and shelves or the local recycling center... residents spend months creating their costumes.
ニュージーランドのカイコウラに住むグウェン・スクリヴナーさんはショップ店員なので、ライオンズクラブが主催するトラッシュ・トゥ・ファッション(「ゴミをファッションに」の意味)ショーのコスチューム作りに使う大量の材料を簡単に手に入れることができました。「たくさんの梱包テープやプラスチックが捨てられていたのでそれを使いました。プラスチックを使えば絶対にうまくいきますから」
「絶対うまくいく」といえば、レディ・ガガ風のスタイルもそうです。「ドレスを着ているガガの写真を見たときに、『あ、これなら私にもできるかも』と。もちろん、実際のガガのドレスはプラスチック製ではありません。でも、彼女のドレスと基本的には同じスタイルです」とスクリヴナーさん。
廃棄されていたプラスチック製のCDケースがいい感じの最後の仕上げになりました。「ドレスの前面に貼り付けたんです。大量の熱接着剤を使えばいいだけでした」
その年スクリヴナーさんは、50人ほどの他のコンテスト出場者と同じように、ゴミから作った奇妙なコスチュームを身につけてランウェイを歩きました。優勝して賞金をもらった人もいれば、何の賞ももらえず思い出を胸に家に帰った人もいましたが、観客たちは歓声や大声援、大きな笑い声をあげてショーを楽しんでいました。でもそれよりも素晴らしかったのは、人々のリサイクルの大切さについて認識を高め、ライオンズクラブが地域での奉仕活動資金として数千ドルを得ることができたことです。
女性会員だけのスワード・カイコウラ・ライオンズクラブが2000年にスタートしたこの突飛なチャリティイベントは、人口2,000人の眺めのいい小さい海辺の町を象徴するイベントになり、農業まつり、ワインフェスティバルにも引けを取らないほどの人気を誇るようになりました。
クローゼットや棚の中を漁り、あるいはあまり好意の感じられない「ごみ捨て場」というニックネームで呼ばれている地元のリサイクルセンターにも通って材料を見つけ出し、住民たちは何か月もかけてコスチュームを作ります。「リサイクルした材料や、もともと服の材料として作られたのではない材料を使うというのがルールです。」そう説明するのは、イベント準備を手伝った会員のジュリー・サイムさんです。
ジュリーさんの特に印象に残っているのは、ベネチアンブラインドのコートや本物の鎧ではなく背中にアイロン台を身につけた男性などです。「この人、ランウェイの端まで来ると、アイロン台を外して床に立てて、アイロンをかけ始めたんです」とすっかり感心した様子で話していました。
このコンテストは想像力が試される8部門に分かれており、参加者の創造性を刺激します。数年前「生きたエイリアン」部門にエントリーしたライオンズ会員のドリーン・トムリンさんは、働いていたレストランから使用済みのコーヒーの容器やティーバッグを持ち帰り、コスチュームの材料として使いました。でもそれだけで満足しなかった彼女はしばらく考えました。そしてひらめきました―電灯を使おうと。「『生きたエイリアンなら、光らせなくっちゃ』と思いついたのです。 そして、『そうだ、クリスマスに使うソーラーライトを利用するのはどうかしら』と考えて、そうやって生きているように見せました。」
ニュージーランドの人たちは平気で自分を笑いのネタにします。部門は毎年変わるのですが、数年前には「キウイ」(ニュージーランド人のこと)という部門がありました。その部門に、気が狂ったような小汚いコスチュームを着て出場したのはメルヴィル・サイムさんです。「競馬やラグビー、ビールが好きすぎるニュージーランド人を表現したのです。年をとって体が不自由になっても、競馬を見に行くニュージーランド人です。その格好でよろよろとステージを歩きました」とメルヴィルさんは当時を思い出して話してくれました。
この女性クラブのためにランウェイを作ったのは、男性だけのカイコウラ・ライオンズ・クラブでした。1964年に結成され、現在は24人の会員が所属しています。女性クラブが結成されたのは1991年で、会員数は34人です。
このトラッシュ・ファッションショーは、もともと、クラブ主催のブライドショーの一部としてスタートしました。「女性たちにリサイクル材料で作ったウエディングドレスを作ることを呼びかけたら、その部門へのエントリーの方が花嫁部門へのエントリーより多かったので、『ああ、これだ』と思ったのです」
イベントは2年に一度開催されています。2016年11月に発生した大地震はカイコウラに甚大な被害をもたらし、2人が犠牲になりました。そして、同じ年の6月に開かれたコンテストでは「80%が列車で輸送中だった耐油紙」部門が作られました。地震のせいで大量の耐油紙を輸送中の列車が立ち往生したことがわかったからです。
このショーは、リサイクルセンター、「イノベーティブ・ウエイスト・カイコウラ」社と共同で主催していますが、このリサイクル・センターは、ショーのおかげもあって国でトップレベルのリサイクルセンターです、
とはいえ、ショーで使われたコスチュームはあまりによくできているのでリサイクルされません。トムリンさんは言います。「一部のコスチュームは町のミュージアムに展示されています。ガレージにしまっている人もいます。大変な労力を使って努力して作ったものですから。夫にいつも言われています、こんなにとっておいてどうするつもりだ、って。でも、どうしても、リサイクル用のゴミ箱に戻す気にはなれないのです」