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地元での糖尿病対策の取り組みは彼にとって明確な進路に思えた

Reannon Muth 2019 年 10 月 11 日

パット・ライアンはある使命を持って、シカゴで開催された2017年ライオンズクラブ国際大会を後にし、彼が暮らすケンタッキー州に戻ってきました。その使命とは、10万人が糖尿病検診を受けられるよう支援することでした。

世界的に拡大している糖尿病との闘いに加わることに、ライアンは意欲をかきたてられました。彼が移り住んだケンタッキー州でも、大勢の人がこの病気に悩まされていることを知っていたのも、行動を起こす一因となりました。

ライオンズのおかげで心強いです。ライオンズは私を助けてくれます。私にはライオンズクラブがついています。

「この州の糖尿病患者の比率は、全米でもトップレベルですから」と彼は話します。同州レキシントンに本部を置く米国糖尿病学会(ADA)の副理事、カーステン・ローランド氏によると、同州の糖尿病患者数は約56万7000人に上ります。「私たちの推定では、そのうち約10万8000人が、糖尿病にかかっていながら自分では気づいていません」と彼女は説明します。

ライアンがこの取り組みを始めた理由はほかにもあります。ライオンズクラブ国際大会の開催中に、彼は次の光景を目にしたからです。ボブ・コーリュー前国際会長がライオンズに対して、糖尿病の予防と啓発活動を支援するように呼び掛けた姿に、ライアンは大いに刺激を受けました。ある意味では予想外の幸運であるとも考えていました。かつては理科の教師やスポーツのコーチを務め、今は年金生活を送る彼にとって、糖尿病の蔓延という事態は、皆で力を合わせて立ち向かうに値するだけではありません。糖尿病は彼自身にも身近な病気でした。

彼にとって身近な闘い
ライアンは身長173センチ、体重73キログラムで、肥満体型ではありません。しかし2015年には、体重が118キログラムほどで前後するという状態でした。深刻な肥満に悩んでいました。「その当時は道を歩くだけでも息を切らしながらようやくという感じでした」と、彼は振り返ります。

また、糖尿病にもかかっていました。

Pat before weight loss

この頃にライアンは医師の診察を受けて、全てが変わりました。医師はライアンに、ステージ3の慢性腎臓病であるという診断を下しました。「これでカツが入ったよ」と、ライアンは言います。それから彼はできる限りのことに取り組みました。果物と野菜をよく食べるようになり、1日に3~6キロメートルのウォーキングも実行しました。やがて彼は45キログラムの減量に成功しました。その翌年、ライアンが腎臓病専門医の診察を受けると、驚くほどの診断結果が出ました。まず慢性腎臓病がステージ1に回復していました。71歳の男性では、これは正常範囲です。そればかりか、16年ぶりに「糖尿病」の診断が「前糖尿病」に改められたのです。彼の血糖値は正常範囲に収まるようになったので、服薬を続ける必要がなくなりました。

この診断を受けた頃にライアンはシカゴで開催されたライオンズクラブ国際協会創立100周年記念祭に出席し、そこで、糖尿病にかかった人やそのリスクがある人を支援するために結集しようという、ライオンズに対する呼び掛けが行われたことに感銘を受けました。ケンタッキー州に戻ったライアンは、LCIFの糖尿病交付金の申請に向けて動き出しました。彼の所属する地区43-Yで糖尿病検診を開催し、リスクのある人々に対するフォローアップの機会を持つのに必要な資金を獲得するためです。2019年5月、地区43-Yに6万7500ドルの交付金が授与され、当地のライオンズは手始めに1万人から2万人を対象とした検診を実施。それから規模を拡大する計画を立てています。 

ニーズがあるところにライオンズがいる
ファイエット郡糖尿病連合(FCDC)の代表を務めるリチャード・ハイン氏は、交付金の申請に当たり、ライアンと地区の人々を支援しました。FCDCは2002年の結成以来、自治体の保険医療機関や地域内の学校、教会、企業、病院などと連携した活動を展開しています。

活動当初から、ライアンは、地区43-Yはイベントの資金提供以上のことを行うべきだと主張していました。「奉仕をするということは、単に小切手を渡すだけのことではありません」とライアンは言います。例えばADAが2018年5月に自転車ツーリング大会「Tour de Cure」(ツール・ド・キュア)を開催した際、ライアンと他のライオンズは看板やゴミ箱の設置を手伝い、ブースの設営にも協力しました。ウォーキング、マラソン、自転車の大会であるこのイベントを通じてADAは、糖尿病の研究、啓発活動、患者への支援活動のための資金を20万ドル集めました。

ADAのローランド氏は、啓発活動がもっと必要だと考えています。「この病気に関する重要な情報を、それを必要とする人に届けることが大きな課題だと思います」と彼女は話します。「蔓延する糖尿病に立ち向かうには、より多くの検診を実施し、さらには前糖尿病の状態にある人や糖尿病の診断を受けた人に対して、糖尿病の予防や管理に役立つ情報を届ける必要があります」

ケンタッキー州内で10万人に糖尿病検診を受けてもらうという使命において、ライアンは苦戦していますが、彼は今も楽観的です。ひとつには、自分一人だけで取り組まなくてもよいこと知っているからです。彼は自身の所属クラブ、ファイエット郡糖尿病連合(FCDC)、米国糖尿病学会(ADA)からのサポートだけでなく、ライオンズの世界的なネットワークからも支援を受けています。

「ライオンズのおかげで心強いです。ライオンズは私を助けてくれます。私にはライオンズクラブがついています。」

Pat Ryan

課題に立ち向かう:力を合わせて
一方、レキシントン・ライオンズも資金獲得と意識向上の両方を狙った活動を進めています。このクラブが約60年前から継続して開催している「ブルーグラスフェア」というイベントで、2017年には、ADAを含む20以上の地元の慈善事業のために17万5000ドルを集めました。2018年の同イベントの利益の一部が、糖尿病の予防と治療を支援する慈善事業に寄付される予定ですが、その額は1万2500ドルになるとライアンは見積もっています。

同クラブでは奉仕活動の様子を写真に残し、Facebookで共有することでその進展を称えています。同クラブのFacebookページは2つあり、1万3000人近くのフォロワーを集めていますし、地元のメディアにも取り上げられています。こうした広報活動の成果が、最近現れてきました。「地元テレビ局が小児糖尿病デーの様子をかなりの時間を割いて放送してくれましたし、このイベントの記事は地元紙の一面に掲載されました」と、ライアンは紹介してくれました。

ローランド氏は、パット・ライアンと地区43-YがADAを支援する活動に携わっていることに感謝し、他の町でもライオンズがADAの活動に関わってくれることを望んでいると話します。糖尿病の患者数は全世界で現在4億人に上り、2040年までにこの数は6億5千万人にまで増えると予測されています。「糖尿病の現状を変えて、最終的に治療法を見つけるには、皆で力を合わせて取り組まなければなりません。」

2019年11月14日の世界糖尿病デーに向けて、国際糖尿病連合(IDF)の 2型糖尿病のリスク評価 を受けましょう。または 2型糖尿病関連事業プランナー を使って、次回の検診プロジェクトの計画を立てましょう。


リーノン・ミュースはネバダ州ラスベガスを拠点にしているトラベルライター兼エディターです。