ケニアのライオンズは、スペシャルオリンピックス・ケニアとの強力なパートナーシップと、糖尿病の罹患率を軽減するというグローバルなビジョンのもと、革新的なプログラムを展開しています。彼らは、過去18カ月間にわたって2つのスクリーニング検査を実施し、およそ800人にも上る知的障害(ID)を抱える人たちやその家族が参加しました。その検査では、それまで診断を受けていなかった糖尿病患者4人を特定し、治療を始めることもできました。この活動は、奉仕を通じた共生社会の構築におけるライオンズクラブ国際財団(LCIF)の革新的でグローバルな慈善団体としてのリーダーシップを反映するものです。
マノー・シャー元国際理事の主導のもと、ケニアのライオンズとスペシャルオリンピックス・ケニアの連携は年々著しく緊密になってきています。ナイロビのライオンズ視力ファースト眼科病院は、今年アブダビで開催されたスペシャルオリンピックス夏季世界大会の式典で、スペシャルオリンピックスおよびゴリサーノ財団から2019年ゴリサーノ財団グローバルヘルス・リーダーシップ・アワードの表彰を受けました。アワードは、ライオンズ視力ファースト眼科病院の健康への包括的な取り組みを称えるものでした。その取り組みにより、スペシャルオリンピックスの選手に1000を超える眼鏡の処方、15の無料の手術、そして数多くの歯科および聴覚に関する処置が行われました。
ゴリサーノ財団のアン・カステロ事務局長は、2019年8月に訪問した際、ライオンズ視力ファースト眼科病院がアフリカのトップパートナーとして選ばれた理由を直接体験することができました。彼女は次のようにコメントしています。「ライオンズ“眼科病院”を訪問して、私はそこが単なる眼科病院ではなく、糖尿病センターでもあり歯科診療所でもあることがわかりました。そこでは総合的な医療が行われ、健康管理を一箇所で済ませることができるのです。ライオンズ眼科病院は、ケニア、アフリカ大陸、そして世界にとって非常に進歩的なモデルです。私はこれまで、世界の他の地域でこれほど高いレベルの統合性を目にしたことはありません」
また、ライオンズ視力ファースト眼科病院には、ナレシュ・アガワル元国際会長によって2017年に開設された新しい糖尿病ケアセンターも併設されています。糖尿病の罹患率と影響力を軽減するというライオンズクラブ国際協会の呼びかけに応えることができる第一級の施設により、ケニアのライオンズは、糖尿病プログラムが知的障害を持つ人たちも対象となる包括的なプログラムになるよう取り組みました。
知的障害を持つ人たちの中で発見された多くの健康問題と同様に、これらの人々の糖尿病罹患率やリスク因子、費用や予防方法についての調査研究は驚くほどなされていません。しかしながら、スペシャルオリンピックスの一般データでは、アフリカ地域の23%から北米地域の73%超に至るまで、21歳以上の選手の69%が太りすぎ、または肥満であることが明らかになっています1。カナダのある研究では、知的障害者の糖尿病罹患率は一般の人たちの1.5倍(16% 対 9.7%)であり、知的障害者が糖尿病と関係のある症状で入院する割合は2.6倍であるとされ、糖尿病のスクリーニング検査を40歳ではなく30歳から始めるよう推奨しています2。さらに、ダウン症などの特定の症候群は糖尿病と深く関係しており、数々の研究で、ダウン症の人たちの1型糖尿病の罹患率は一般の人たちと比較して4倍から35倍であると報告されています3,4。
このような憂慮すべき統計を念頭に、ケニアのライオンズはライオンズ視力ファースト眼科病院を通じてAratus Health Limitedと提携し、エルドレットとマチャコスで糖尿病のスクリーニング検査のイベントを開催し、およそ800人にも上る知的障害を抱える人たちとその家族が参加しました。スクリーニング検査にはリスク因子の評価も含まれ、22人が肥満ではあることがわかりましたが、高血圧は記録されませんでした。11人が既存の糖尿病患者でしたが、新たに4人が糖尿病と診断され、さらなる検査と治療のために40人がライオンズ視力ファースト眼科病院の糖尿病ケアセンターに紹介されました。
ライオンのアルヴ・カルシさんは、411A地区のLCIF糖尿病プログラムのコーディネーターですが、試験的イベントのインパクトと、さらなるイベントへの期待に心を躍らせました。「知的障害を抱える人たちを糖尿病プログラムの対象に含めるための取り組みはほとんどなされていなかったので、スペシャルオリンピックスを支援することで、これらの人々のスクリーニング検査の基本運営手順を作り上げることができ、さらに、知的障害を持つ人たちに自分たちの糖尿病への取り組みにぜひ参加してもらいたいと思っている他のライオンズクラブや地区のお役に立つことができてうれしく思います。私たちは、啓発、教育、早期診断、フォローアップ・ケア、管理、そして糖尿病に関する共通のビジョンと足病合併症への取り組みに応える非常に包括的なモデルを作ったと感じています。私たちの体験を皆さんと分かち合えることを楽しみにしています」
して、LCIFとスペシャルオリンピックスのパートナーシップの詳細をご覧ください。
アンマリー・ヒルは、スペシャルオリンピックスインターナショナルのグローバル開発シニアディレクターです。
1 スペシャルオリンピックス。スペシャルオリンピックス・ヘルシー・アスリート・プログラム・データ。ヘルシー・アスリート罹患率レポート。2018
2 Balogh、その他。知的発達障害者の糖尿病罹患率と回避可能な入院における格差:集団ベースの研究。糖尿病医療。32: 235-242.2015
3 Bregholdt R、Eising S、Nerup J、Pocoit F。デンマークにおける1型糖尿病患者のダウン症罹患率の増加:国内集団ベースの研究。糖尿病。49:1179。2006
4 Anwar A、Walker J、Frier B。1型糖尿病とダウン症:罹患率、管理および糖尿病合併症。糖尿病医療。15:160-3. 1998