カナダのオンタリオ州北西部にあるバーミリオン・ベイ・ライオンズクラブでは、いつもなら春は、毎年恒例の人気イベントである、地域の高齢者向けの無料夕食会の準備に忙しくしているものでした。イーグル湖に面した人口1,000人の小さな町バーミリオン・ベイで、カナダ軍の士官候補生プログラムに参加している若者たちが、ライオンズの支援を得ながら提供する、温かい食事を楽しむために、ライオンズホールに100人以上の人々が集まるイベントです。
地域支援の体制を一気に整えることができたのは、奉仕に携わった者全員にとって実り多い体験でした。
ライオンズホールはこの町最大の建造物で、災害時の危機管理センターおよび避難所にも指定されています。その指定はずっと形式だけのものでしたが、この春、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広がったことを受け、バーミリオン・ベイ・ライオンズクラブは、このホールを非常に必要性の高い、緊急食料支援センターとして運営することにしました。小学校の閉鎖が決まると、地元のリリアン・バーグ小学校の校長であるライオン、ドリス・セントジュールズをはじめとするライオンズは、NOW(Nutrition on Weekends:週末にも栄養を)プログラムや「学校で朝食を」(Breakfast for Learning)プログラムで援助を受けている子供たちのことを心配し始めたと、5M複合地区の地区ガバナーエレクト、シャーリー・コロニアックは話します。
食料不足のニーズに応えるため、子供向けの2つのプログラムのうち片方の主要資金提供者であるノースウェスタン・ヘルス・ユニットからの了承を得て、ライオンズは学校の食料の在庫を地元の団体に送ることができました。ライオンズはまた、車で30分ほどかかるドライデンという町にある、地元のフードバンクとの提携も始めました。世帯単位で用意されている食料品の詰め合わせをまとめてライオンズがフードバンクに取りに行き、安全な方法で家庭に配達するか、ライオンズホールまで取りに来てもらいます。こうすると、週1回のペースで外出してドライデンまで車を走らせなければならない人の数が減らせるからです。
同クラブでは現在、大人25人と1歳~17歳の子供17人に対して週1回のペースで奉仕を行っていますが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により仕事が激減しているため、奉仕を必要とする人の数は増えるだろうと、コロニアックは予想しています。
彼女は次のように話します。「地域支援の体制を一気に整えることができたのは、奉仕に携わった者全員にとって実り多い体験でした。この苦しい時期に支援を受けている私たちの町の各家庭の人々は、バーミリオン・ベイのライオンズが非常に短い時間で結集し、地域の人々への奉仕を進められていることに、大変感謝してくれています」
大勢のライオンズが進んで支援に参加していますが、同クラブでは、安全と社会的距離の確保(ソーシャル・ディスタンシング)のためのガイドラインに従い、1回の奉仕に参加する人数を8~10人に制限しています。一方、ライオンズだけでなく多くの地域住民も、寄付金や食料品を進んで提供してくれています。
彼女は、地域住民のボランティアの多くが、将来地元のライオンズクラブへの入会を検討してくれることを願っています。同クラブの会員は44名ですが、そのうち少なくとも10名は、今年入会した新入会員です。
「なぜかって? 私たちはいつも熱心に活動しているからでしょう」と、彼女は説明します。「ライオンズの働きぶりは、この町の誰もが認めてくれます」
バーミリオン・ベイから車で南に向かって走ると3時間かかる場所にある、米国ミネソタ州とカナダとの国境近くの町、オンタリオ州エモで、5M-10複合地区の前地区ガバナー、ジョアン・オグデンは保健師として働いています。彼女が暮らしているのは人口1,200人の町で、彼女は仕事帰りに店に立ち寄り、近隣の8~10世帯に渡す食料品を持ち帰ります。
60人の会員から成る国際的なクラブのエモ・アンド・ディストリクト・ライオンズクラブは、地域事業に協力しています。食料品店の従業員に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染するリスクを負わせるのではなく、ライオンズはFacebook上に「コロナ対策配送」(COVID Delivery)というページを開設しました。人々はFacebook経由で小口の注文のメッセージを送信するか、または店に直接電話して発注し、代金の支払いは電話で行います。食料品店の従業員は注文の品を、店の外に車を止めて待つボランティアのライオンに渡します。そしてそのライオンはその品物をそれぞれの家に届けます。
届け先の家に着くと、車から電話でその家の住人に注文品が到着したことが知らされ、玄関のドアから30フィート(約9メートル)離れたところに荷物が置かれます。
「これは 本当に素敵な取り組みです。食料品を置いていく際、ソーシャル・ディスタンシングのために家の中にいる人と窓越しに会話して、チップを渡したいと言われることがあります。そんなときはいつも、『ライオンズとして当然のことをしているだけですから』と伝えます」と、オグデンは言います。「そんなことをしてくれる人たちがいるなんてこれまで考えたこともなかった、たくさんの人たちの心の中に、種をまいているのです」
また別の地域事業としてフィルター付きのマスクを縫って、地域の人々の生活を支えるエッセンシャルワーカー一人ひとりに4枚ずつ贈る取り組みが進められていて、同クラブもこれに参加しています。自宅用に2枚、仕事用に2枚を贈るのです。合計で、少なくとも2,000枚のマスクを縫うことになると、オグデンは話します。
彼女はクラブに勧誘された2010年の状況を「私は『活動する時間なんて作れない』など、何やかやと文句ばかり言うタイプの人間でした」と振り返ります。「でもやがて、他人に奉仕することの素晴らしさに気づく時が来ます。そして、ブライアン・シーハン(国際第二副会長)のような方のお話を伺うと、『なぜ今までずっとライオンにならなかったんだろう』と思うようになります」
このストーリーはライオン誌の編集者がお届けしました。このほかの素晴らしいストーリーは、lionmagazine.org でご覧ください。
ジョーン・ケアリーはライオン誌の編集補佐です。