インドのピンプルナ村は、ジャワール・タルカの美しい風景に囲まれて静かにたたずむ小さな村です。この地域には肥沃な土壌が広がっており、モンスーンの季節には幾筋もの滝が流れます。しかしモンスーンの季節が終わると、水はことごとく蒸発し、村はカラカラに乾いて、飲み水もほとんどなくなってしまいます。「残念ながら、村人たちは水を得るために必要なお金も、そのための設備や施設も持ち合わせていません」と話すのは、元協議会議長(PCC)であり現在は事業委員長を務めている、クワジャ・ムダシル医師です。村人たちは、調理、入浴、掃除などに使う日々の生活用水を汲むために、片道4~6キロメートルもの山道を歩いて往復しなければなりません。また十分な量の水が確保できないため、農民たちは1年に農作物を複数回栽培し収穫することができません。その結果年1回の収穫が終わると、農民たちは残りの期間、別の仕事を求めて近くの町へ出稼ぎに行かざるを得ないのです。このように頻繁に長距離移動を強いられる生活は、子どもたちの教育や社会性の獲得に大きな影響を及ぼします。
このようなCSR事業によって、ライオンズは自身が生活し、働いている地域社会に大きな影響を与えることができます。
苦労しなくても水がいつでも入手できるようにすることは、この村の人々の切実なニーズであると認識したライオンズとライオンズクラブ国際財団(LCIF)は、住友化学インド社と企業の社会的責任(CSR)パートナーシップを締結し、その解決策を提供しました。このCSRパートナーシップによって、ライオンズは住友化学インド社から、革新的な太陽光発電による灌漑事業への支援として2,000万インドルピー(INR)の資金提供を受けました。
元国際理事で現在はCSRアンバサダーを務めるプラビン・チャジェドは、次のように話します。「CSR事業は、地域社会が必要としている事業であり、これを実施することで、可能性は無限大に広がります。CSRイニシアチブに投資することで、LCIFは社会的責任へのコミットメントを示し、地域社会の強化、レジリエンス(回復力)の向上に貢献することができます」
ソーラーパネルが生み出す再生可能エネルギーを使って、近くのピンプルナ・ダムから同村在住の29人の農民の畑に水を引きました。これにより、農民たちは1年の間に2~3回の収穫ができるようになります。「かつて農民たちは年に1回しか作物を収穫できませんでしたが、今では二毛作、三毛作ができるようになり、当然収入も増えています」とPCCのムダシル医師は述べています。さらに、夏の乾期に他の町に移動する必要もなくなったため、子どもたちは村の中で一貫した教育を受けられるようになりました。
この太陽光発電による灌漑事業が完了した際、ブライアン・シーハン理事長が現地を訪れ、誰もが笑顔で歓迎しました。元マーケティング委員長(PMCC)で現在はCSRエミッサリーであるチャンドラシェカール・ガーグは、このときのことを次のように振り返ります。「この地域には舗装道路がほとんどなく、私たちは村まで徒歩で行くほかはありませんでしたが、シーハン理事長は、私たちと一緒に歩くことを強く希望されました。また、村人たちに会うことを心待ちになさっていました。理事長は村人たちの家々を訪ね、村人たちと腰を据えてじっくり向き合って語り掛け、本当に熱心に話し合っていました」
シーハン理事長のこうした個人的な訪問は、住民全員の幸福の実現を目指すという、ライオンズの強いコミットメントを反映したものでした。村への訪問を終えたシーハン理事長は次のように語りました。「この事業は私にとって特に印象深いものとなりました。厳しい地形の中をトレッキングのようにして歩いていくと、丘の向こうにエメラルドグリーンの畑が広がっていました。近いうちに必ず、この畑には見渡す限りカシューの木が植えられるでしょうし、養蚕も始めれば地域経済はますます潤うでしょう。このようなCSR事業によって、ライオンズは自身が生活し、働いている地域社会に大きな影響を与えることができます」
ピンプルナ村の全人口(約750人)と近隣の地域住民がこのプロジェクトの恩恵を受けることになります。村人が栽培する作物の種類を増やし、水の供給が安定すれば、村人たちの社会経済的地位は劇的に向上し、地域社会が安定するでしょう。こうした取り組みの成功に、ライオンズはいつも励まされています。ライオンズは当分の間、毎年異なる村で同様の灌漑方法を実施し、どの季節であっても、水を必要とする人々に水を届け続けたいと考えています。
LCIFのCSRプログラムと、LCIFインド事務局がインドの大手企業や財団と協力してCSR目標を達成し、地域社会に好ましい影響を及ぼしていることの詳細をご確認ください。
シェルビー・ワシントンは、ライオンズクラブ国際財団(LCIF)のコンテンツスペシャリストです。