「善行を施すと気分がいい」というのは、ボランティア活動の経験がある人なら誰でも実感していることで、そのことを科学的に裏付けようとする研究も、昔から何度も行われています。では、ドーパミンが人の健康と幸福に与える影響とは、総じてどのようなものでしょうか?
アメリカ老年学会の学会誌『The Gerontologist』に掲載された論文によると、ボランティア活動を継続している高齢者は、そうでない同年代の人々に比べて、高血圧を発症している人の比率が低いのです。また、若年層を対象とした同様の論文が『JAMA Pediatrics』に掲載されていますが、そこでも同様の結果を得ています。ボランティアに参加した高校生は、参加しなかった高校生よりも心臓病リスクマーカー検査の結果が良好だったのです。
さらに、ボランティア活動は長寿につながるという研究結果もあります。『American Journal of Preventative Medicine』誌に掲載された論文によると、4年間の研究の結果、少なくとも年間100時間のボランティア活動をした人は、そうでない人に比べて死亡リスクが減少したことが分かっています。
そのメリットは明らかですが、この善意の行動を生活に取り入れるには、そのための時間を確保しなければなりません。では、どういう人が他人のために尽くす行動に時間を割いているのでしょう。国連ボランティア計画（UNV）によると、全世界のボランティア活動のうち約57％は女性が行っています。そもそも仕事、家庭、プライベートの予定がぎっしり詰まっている合間にボランティア活動を組み込むという離れ業を、どのように成し遂げているのでしょう？
その理由と方法について、何人かのライオンズ女性会員に尋ねたところ以下のように答えてくれましたのでご覧ください。
ジョイス・アクパタ
クラブ名： ラゴス・フェニックス
所在地： ナイジェリア、ラゴス
ライオンとしての活動歴： 10年
職業： 弁護士、国際協力専門家
趣味： 長距離走、旅行
奉仕活動と他の生活とのバランスを取るための秘訣： セルフケアを優先して充電し、リフレッシュすることで心身の健康を維持しましょう。自分の活力が尽きている状態では、他人に何かを与えることはできませんから。
生活の中でライオンとしての活動を重視している理由：
私は奉仕活動に取り組むことで、助けを求めている人々に応えることができるだけでなく、私自身の人生も豊かになっていると感じます。妻として、3人の男の子（18歳、15歳、9歳）の母として、そして職業人として、日常以外の貴重な経験を楽しむことができます。日常生活で抱えるいろいろな悩みからいっとき解放されるという、ストレス発散にもなります。
ギゼム・エズカズマン・エゼン
クラブ名： イスタンブール・セメンザール
所在地： トルコ、イスタンブール
ライオンおよびレオとしての通算の活動歴： 12年
職業： 環境エンジニア
趣味： ピラティス、ダンス
奉仕活動と他の生活とのバランスを取るための秘訣： 楽しいと思える事業に参加しましょう。
生活の中でライオンとしての活動を重視している理由：
ライオンとしての活動で大事なのは、活動の中で出会う人それぞれの人間性を受け止めることと、自分自身の感覚を研ぎ澄ますことです。仕事での義務と個人としての義務を果たすと同時に、他者への奉仕に打ち込むことで、私は誠実に生きることができます。
アンジェラ・ユン
クラブ名： ホンコン・シティズンズ（香港新民獅子会）
所在地： 中国、香港、九龍
ライオンとしての活動歴： 10年
職業： 資産運用の専門家
趣味： 読書、ダンス、ランニング、ヨガ、ハイキング
奉仕活動と他の生活とのバランスを取るための秘訣： 自分自身の成長の様子と目標を定期的に見直しましょう。目的を見失わないようにするためです。
生活の中でライオンとしての活動を重視している理由：
人生の中で忙しくない時なんて存在しません。大事なのは、自分にとって本当に大切な物事を優先することです。奉仕活動に参加すると、近隣の人々、地域社会、家庭に愛情を注ぐことは大事だといつも思わされます。それらは忙しい日々の中で、シンプルに幸せと安らぎが得られる場だからです。
カトリン・ベヒシュタイン＝ディートリヒ
クラブ名： ネツヴェルク・シュッド
所在地： ドイツ、ロルヒ
ライオンとしての活動歴： 15年
職業： 音楽監督、オペラ歌手
趣味： 運動、読書、文化的な生活を楽しむこと
奉仕活動と他の生活とのバランスを取るための秘訣： 時にはきっぱり「ノー」と言えるようになりましょう。物事を深く考えることに時間を使い、時々は仕事を断りましょう。大切なのは、ボランティア活動を楽しみながら続けることです。
入会に興味を持っていそうな人が、多忙で活動のための時間を作れそうにないと言ってきたら：
私は次のように答えます。ライオンズクラブに入会すると、重要な奉仕事業に参加し、新しい友人を作る素晴らしい機会が得られます。私は専門的な仕事に没頭していますし、妻であり母でもあります。それでも私は活動を続けることができています、と。
サンギータ・クマール博士
クラブ名： ボーパール・ウイング
所在地： インド、マディヤ・プラデーシュ州
ライオンとしての活動歴： 1年
職業： 教授、起業家、企業内研修の講師、作家
趣味： 旅行、執筆、詩作、恵まれない境遇にある青少年への教育
奉仕活動と他の生活とのバランスを取るための秘訣： 時間の管理をうまくやりましょう。私は最低でも毎日1時間は、ライオンとしての仕事に時間を割くよう努力しています。
生活の中でライオンとしての活動を重視している理由：
娘として、妻として、母としての責任を果たした上に仕事と、忙しい毎日を送っていますが、ライオンズ会員だからこそ、私は社会に恩返しができるのです。今はこの活動が最大の私の生きがいなので、そのために喜んで時間を捧げています。
パトリシア・グラント博士
クラブ名： シカゴ・セントラル
所在地： 米国イリノイ州シカゴ
ライオンとしての活動歴： 3年
職業： 研究機関の上級副責任者、兼任助教授
趣味： 最新の栄養学や運動学の本を読むこと、筋力トレーニング、ウォーキング、自転車に乗ること、息子やパートナーと充実した時間を過ごすこと
奉仕活動と他の生活とのバランスを取るための秘訣： 家族も活動に巻き込みましょう。家族で一緒に奉仕活動をすれば、大事な人と充実した時間を過ごしながら社会にも貢献できます。
生活の中でライオンとしての活動を重視している理由：
ともすれば日々、目の前の仕事だけで手一杯になりがちですが、人生で大事なのは「やることリスト」をこなしていくことだけではありません。ライオンズの使命に参加することで、私はゆっくりとした時間を過ごすことができますし、自分ひとりの生活や日常的な要求以上の、大きな目的に加わっているという感覚と広い視野を得ることができます。
ジェニー・マクスはライオン誌の上級編集者です。
