12月にしては異様に暖かい夜のことでした。ケンタッキー、アーカンソー、ミズーリ、テネシー、イリノイ、インディアナ各州の数十にも上る地域に、壊滅的な竜巻が何度も通過しました。住宅や店舗が何軒も竜巻に巻き上げられ、電線も地面から吹き飛ばされ、そのがれきがキロメートル単位の広範囲に散乱しました。一夜明けて人々は、このようにすべてが破壊された現実を目の当たりにしました。
ライオンズが一人ひとり支援の手を差し伸べれば、もっと多くのことができるはずです。
ケンタッキー州メイフィールドのケビン・ビショップ市議会議長兼判事は、1888年に建てられたグレーブス郡裁判所の建物まで、屋根も時計台もない状態になったという町の惨状を目の当たりにして、「恐ろしい光景だ。まるで爆弾が落ちた跡のようだ」と話しました。嵐に見舞われた夜の間、彼は愛する人たちと身を潜め、竜巻がその地を襲う前に恐怖と不安の予感があったことを思い出していました。
2021年12月10日にメイフィールドを襲った竜巻は、地上の移動距離においてはケンタッキー州の歴史上屈指の長さでした。竜巻を発生させた雲は幅が1.5マイル(約2.4キロメートル)から1マイル(約1.6キロメートル)の間ぐらいあり、竜巻の移動距離は約250マイル(約402キロメートル)に及び、特にメイフィールド、ドーソンスプリングス、ベントン、ブレーメンといったケンタッキー州西部地域に大きな被害が出ました。
80人以上が命を落とし、住宅や企業の施設など数千の建物が全壊または半壊し、人々は家や職場を失いました。メイフィールドだけでも、地元の労働者を250人以上雇用していたメイフィールド・キャンドル工場が丸ごと竜巻に巻き上げられ、9人が死亡しました。
それでも不幸中の幸いで、竜巻などの自然災害が発生すると、ライオンズは真っ先に駆けつけて支援します。ペンシルバニア、オレゴン、オハイオ、ニューヨーク、コネチカットなど全米各地のライオンズが、本当に助けを必要としている仲間のライオンズを支援しました。ケンタッキー州のライオンズは、影響力を強めて、困難な状況にある地域社会を支援するために、ライオンズクラブ国際財団(LCIF)を頼りました。LCIFは、竜巻による被害と死者のほとんどがケンタッキー州に集中していたため、ケンタッキー州のライオンズに直ちに2万ドルの交付金を拠出しました。
また、LCIFは10万ドルの追加交付金を提供し、季節外れの竜巻が少なくとも30回発生した、複数の被災州への救援に活用できるようにしました。
「私は長年のライオンズ会員ですし、私たちのモットーは『ウィ・サーブ』ですが、ライオンズが自分の町で奉仕してくれたことで初めて、その本当の意味を実感しました」と、ビショップは話します。
現場で手を貸すライオンズ
全米のライオンズ会員は災害発生直後から現地に電話をかけて、どのような支援をすればいいかと問い合わせました。多くのライオンズが金銭的な寄付を行い、中にはペンシルバニア州のライオンズのように、清掃を手伝うためにケンタッキー州に駆けつけたライオンズもいました。元地区ガバナーのデニス・コープは、2022年1月にペンシルバニアの13人の仲間とともにケンタッキー州を訪れ、25万ドル以上の食料と物資を届けたライオンズの1人です。
「竜巻でこの地域がこれほど悲惨な状況になっているとは、実際に足を運ばないと実情は分からないものです」とコープは語ります。
ダグラス X. アレキサンダー前国際会長(現LCIF理事長)もそのペンシルバニア州からかけつけたライオンズと一緒に、メイフィールドなど、竜巻の被害を受けた町をいくつか訪れました。
「これほど多くのライオンズが、困っている人々の支援に参加していることに、私は驚いていません。これこそライオンズが行うことです」と、アレキサンダー前国際会長は話します。「ニーズがあるところに、ライオンズがいます。私たちは進んで人々に手を差し伸べますし、見返りは求めません。大事なのは奉仕すること、それも心を込めて行うことです」。
圧倒的なニーズに応えるため、ライオンズはケンタッキー州政府の緊急事態管理担当機関と協力し、食料から毛布に至るまで、物資の配布を支援する活動を開始しました。
ケンタッキー州の地区ガバナー、ゲイリー・ローガンによると、ライオンズは全米のライオンズの支援を受けて、物資の配布を支援するための倉庫も2箇所設置しました。
暴風雨の後、多くの世帯が停電となったため、LCIFの交付金は発電機、プロパンガス用ヒーター、二酸化炭素検知器の購入に活用されました。竜巻のため電線は至る所で破損しており、電力会社が配備をやり直す必要がありました。停電が解消されるまで1ヶ月かかった地域もあり、発電機は寒い冬の間、人々の住宅の暖房に役立ちました。
「このたび恐ろしい竜巻が通過し被害を受けたメイフィールドとグレーブス郡のコミュニティには、長期にわたる支援が必要で、必要なものは日々変化していきます」とビショップ氏は説明します。
住む家を失った人々のために、ケンタッキー州当局は被災者向けの住宅を提供し、ライオンズはその仮設住宅で暮らす人々のために家具や台所用品を提供しました。
「今回のことで町を離れた人たちが戻ってくることは、おそらくないでしょう」と、市議会副議長のジェフ・グリーム氏は話します。
長期的な目標は、そんな人々がこの地域に戻るのを支援し、もともとの住民に「強いメイフィールド」のコミュニティを維持してもらうことです。この地域で長年暮らしてきたグリーム氏は、以前のメイフィールドは「思い出だけに終わらせない」をスローガンとして掲げ、古くからあるユニークなダウンタウンを守ってきた、素晴らしい場所だったと説明します。
グリーム氏にとって、このスローガンは今でも真実です。「この町は思い出として語られるだけの存在ではありません。まだまだこれからです。『強いメイフィールド』なのですから」と彼は主張します。
ケンタッキー州のライオンズは、災害で多くを失った地域社会について、ライオンズとその国際財団の支援を受けながら、何としてでも地域の人々の手で再建しようと強く心に決めています。
ローガンはその決意を次のように語っています。「我々が力を合わせれば、もっと多くのことを成し遂げることができるはずです。全米のライオンズが被災者のために行ってくれた活動については、言葉にならないぐらい感謝しています。ライオンズが一人ひとり支援の手を差し伸べれば、もっと多くのことができるはずです」。
ライオンズとLCIFの支援の様子、また災害援助交付金の詳細は動画にまとめていますのでご覧ください。
エリザベス・エドワーズは、ライオンズクラブ国際財団(LCIF)のコンテンツスペシャリストです。
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